ココロの漢方

20代の時に風景写真の為に北海道から小笠原まで住み込みながら全国を放浪し、町工場の溶接工からホテルマンなどをやってきた、薬局で働く現役の漢方大好きで風変わりな薬剤師が、ドラッグストアや通販で手に入る漢方やメンタル面、ランニングや呼吸などによって自身を整えていく考え方や独自の価値観を紹介しています。

【後編:芍薬と甘草】英語の"In order to"と葛根湯のはなし

こういうことを書いている人は、ほとんどいらっしゃらないと思います

 

前編はこちら↓

 

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英語の in order toを例にとって

 

orderは単独では、注文する・命令するなどの動詞として

 

また、海外ドラマのLaw and orderのように、秩序という名詞にもなりうるし

 

inとtoがつくことにより、in order toという、

 

〜するために という全く違う意味にもなります

 

 

これを漢方の生薬にも当てはめて

 

前回は、

 

麻黄と桂皮(枝)

 

そこから派生して、ドラッグストアの五虎湯の麻黄と石膏

 

の組み合わせで、どう薬効が変わっていくかをお話しました。

 

 

〜には、〜湯!だと、全く応用が効かないんです^^;

 

 

肩こりから、こむら返り、過敏性腸症候群、下痢の腹痛まで応用を効かせられますので

 

長編ですが、お付き合いいただければ幸いです。

 

 ということで、後編は

 

同じ葛根湯に含まれる生薬の組み合わせで

 

芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)を例にとって、話していこうと思います。

 

あくまで、ドラッグストアレベルの漢方で応用するための知識と考え方を、僕の経験も踏まえて書いていきます。

 

葛根湯の構成生薬のおさらい

 

葛根(カッコン)

 

麻黄(マオウ)

 

桂皮(もしくは桂枝;ケイヒorケイシ)

 

芍薬(シャクヤク)

 

甘草(カンゾウ)

 

生姜(ショウキョウ)

 

大棗(タイソウ、ダイソウ)

 

です。

 

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この「芍薬」、「甘草」の組み合わせで、筋肉を緩める作用を強めます

 

芍薬は、正確には皮なしの芍薬「白芍(びゃくしゃく)」は

 

もとより、筋肉を緩める作用を持ちます。

 

芍薬と甘草が組み合わさることにより、緩める作用が増強され

 

特に、僕らが意識して動かせる筋肉(横紋筋;おうもんきん)を緩める作用が強くなります

 

ドラッグストアには、この2つしか入っていない芍薬甘草湯がたくさん置かれていて

 

ウリ文句は

 

「こむら返りに、お悩みの方に!」

 

こむら返りは、ふくらはぎの筋肉で起きますが、あれは骨格筋で横紋筋ですので緩めることができます。

 

肩こりに葛根湯が効くとよく言われますが、、、

 

この芍薬、甘草とともに

 

こわばりを取る=(解表;げひょう、と言います)作用のある葛根

 

生姜(読み方はショウキョウですが、要はショウガです)で温める

 

桂皮(枝)も体を温めますので

 

体を温めて血の巡りを良くしつつ、筋肉の緊張をとりつつ、こわばりをとっていく

 

これで、肩こりも治るわけですが、毎日飲まないでください。

 

甘草の副作用が出やすくなります(後日、解説します)

 

僕が肩こりに葛根湯を使う場合は

 

首に近い側の鎖骨の上の筋肉が石みたいに固くなっていて

 

血行不良で、ズキンズキンと頭痛が今にも起こりそう、これはアカンという時にだけ、のみます。

 

楽になってから、血行が悪くなった原因を考えて取り除く努力をします。

 

 

肩こりといえば、葛根湯ではありません。

 

 

次に、桂枝湯という漢方薬を、この芍薬と甘草の組み合わせから応用していきます

 

桂枝湯は、ドラッグストアでいうと柴胡桂枝湯や桂枝加竜骨牡蛎湯の桂枝湯です

 

柴胡桂枝湯は、小柴胡湯+桂枝湯

 

桂枝加竜骨牡蛎湯は、桂枝湯+竜骨+牡蛎

 

です^^

 

桂枝湯は葛根湯から、麻黄と葛根を抜いたものと考えていただいていいのですが

 

桂枝湯には、もともと芍薬が含まれています

 

この芍薬を増量してやると、

 

今度は「腸」の筋肉を緩めることができるようになります

 

桂枝湯に芍薬を「加えて」やったということで

 

桂枝「加」芍薬湯(けいし「か」しゃくやくとう)

 

と言います。

 

ドラッグストアに置いてます。

 

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ちなみに、腸よ、動けと念じても動きません(笑)

 

内臓の筋肉は自分で動かせない筋肉で、心臓以外の内臓は、基本的に平滑筋です。

 

桂枝加芍薬湯は、自分の意思で動かせない平滑筋を緩める力が強いです

 

事実、例の葛根湯を使うレベルの酷い肩こりに、あんまり効いた気がしなかったので驚きました。

 

僕は、以前ストレスで、過敏性腸症候群になったことがあります。

 

お腹が痛くなってるのに、トイレに駆け込んでも出ない^^;

 

出ても、コロコロと(失礼!)出てくる

 

過敏性腸症候群も何種類かありますが、僕のかかったパターンは、典型的な

 

腹痛・便秘型

 

というものです。

 

要は、ストレスで腸がキューッと縮こまって、痙攣して痛む

 

縮こまってるから、ちゃんと出るべきものも出にくい(失礼!)

 

これを緩めてやるイメージです

 

腸のこむら返りのようなイメージ、と言うべきか悩みますが・・・

 

この、腹痛・便秘型の第一選択で特効薬的な存在が

 

桂枝加芍薬湯

 

になります。

 

実際、よく効きました。

 

手帳に挟んだり、上着のポケットに入れたりして常に携帯していましたね。

 

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この桂枝加芍薬湯、僕は別の目的でも使っています

 

お腹壊して、何度もぴしゃーっと出てくるタイプの下痢をした時、お腹がきゅーっと痛くなりますが

 

あれも、要は腸の収縮ですので

 

緩めてやれば、トイレでうなり続けて体力を奪われる、あの下痢の痛みも取れます

 

胃苓湯という、僕のオススメの漢方がありますが

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ぴしゃーっと何回も出てくるタイプの、典型的なお腹こわしたときの下痢に良く効きます。

 

胃苓湯には、抗菌効果と筋肉を緩める効果のある厚朴が含まれています

 

これでも痛みが取れない場合に、僕は桂枝加芍薬湯を追加してやります

 

大概の痛みは取れます

 

下痢したときの強烈な痛みは、体力を激しく奪っていくので

 

これを知っているだけで、だいぶ救われます

 

下痢して、激しく体力を消耗すると

 

あるとき、ガクッと生命力が落ちて、手先が氷のように冷たくなって

 

布団に入っているのに、雪の中で寝ているように寒くなります

 

そう、僕が人生で初めて救急車を呼んだ

 

漢方でいう「ケッチン病」

 

の状態でした。

 

当時は、国家試験受験「1週間前」でしたから

 

・・・。

 

^^;

 

漢方なんて、まったく無知のレベル。

 

ケッチン病は、死ぬ一歩手前です

 

何も知らなかったとはいえ、救急車を呼んだのは正しい判断でした。

 

ちなみに、救急車を呼ぼうとiPhoneを持とうとしたら

 

冷たすぎて持てずに、落としてしまい

 

命からがら、フットウォーマーで温めて、なんとか持って電話しました。

 

あの、いつもはうるさいと嘆く例のサイレンの音を聴いたときの安堵は、一生忘れないでしょう。

 

 話はそれましたが、お腹を壊したときは

 

胃苓湯(いれいとう)がよく効きます

 

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あとは、ゲンノショウコかな

 

お医者さんで、抗生剤もらって飲むのも大事です

 

抗生剤もらって飲んで、胃苓湯のんで、半夏瀉心湯も一緒に飲んでやれば

 

よほどのことが無い限り、短期間でよくなります。

 

えらい長くなりましたが

 

芍薬

 

甘草

 

この2つの組み合わせでも、これだけ奥が深いのです。

 

そして、これだけでも知ってるだけで、ドラッグストアの漢方でも相当なまでに応用が効くのです^^