ココロの漢方

20代の時に風景写真の為に北海道から小笠原まで住み込みながら全国を放浪し、町工場の溶接工からホテルマンなどをやってきた、薬局で働く現役の漢方大好きで風変わりな薬剤師が、ドラッグストアや通販で手に入る漢方やメンタル面、ランニングや呼吸などによって自身を整えていく考え方や独自の価値観を紹介しています。

薬局トリアージ。これから、薬剤師はどうあるべきなのか・・・

今月、わりと自分の中で考えさせられることが立て続けに起きています。

 

今回の文章は、漢方にあまり関係なく、また少し重めです。

 

薬剤師としてそこまで、経験は深くはないのですが、こればっかりはどうしても書いてみたいと思い、書くことにしました。

 

また、今週のお題「応援」

 

ということで、自分自身にエールを送るためにも書いています。

 

 

 

 

 

勤務先は、調剤薬局ではあるものの、土地柄なのか外国人の方もちらほら来られます。

 

僕は、英語の訓練も兼ねて対応させていただいているのですが

 

ある人は"Excuse me?" と、スマホの翻訳アプリで「細菌性腟炎」だと訴えてきました。

 

う〜ん、これはさすがに、お互いに英単語わからんわ〜

 

細菌性かどうかはともかく膣炎は、カビが原因のものとトリコモナス原虫が原因のものがあります。

 

メトロニダゾールなど、処方箋医薬品の抗生剤が必要だと思って受診勧奨しました。

 

"Oh...Thank you..."と去っていくその背中は、どこか寂しげでした。

 

 

※医療用医薬品の中には、処方箋医薬品とそれ以外があって

 

例えば、医療用の漢方薬は処方箋医薬品「以外」になりますので、急を要する状況など、例えば寒気がするときの葛根湯エキスなどを数回分、少量を売ることくらいなら調剤薬局でも、できないことはありません。

 

現に、ハル薬局さんは通販でツムラの医療用漢方を販売されています。ちと、値ははりますが。

 

 

抗菌スペクトルの広い抗生剤や降圧剤など、強い副作用もそれなりに考えられる処方箋医薬品は、処方箋がないと渡すことはできません。

 

 

ある人は、台湾から来たという人でしたが、台湾の人は香港以外の中国人と違って、比較的、英語が流暢な人が多い印象を受けますね。

 

それはともかく、奥さんの目に炎症がどうのこうの、目ヤニがどうのこうのというので、抗菌用の目薬がクラビット®しかなかったのと、これは処方箋医薬品なので、これまた受診勧奨したわけです。

 

目ヤニは、eye mucusと言うらしいのですが、そのとき調べて、初めて知りました・・・。

 

 

医療用英単語は、想像以上に出てきません・・・。

 

 

ところが!!!

 

 

さすがに、二人も追い返すとどうにも、心の中がざわつくんですね〜^^:;

 

 

俺、薬剤師やんな・・・と。

 

 

受診勧奨するのも、あながち間違いではないと思います。しかし、

 

漫画の「鋼の錬金術師」のリン・ヤオ版グリードさんが記憶を消された後に、かつての仲間を亡き者にしてしまうのですが、なぜか腕がガチガチ震えているのです。

 

このグリードというのは、仲間を絶対に見捨てない、非常に大切にするキャラです。仲間を亡き者にするなど、あり得ないことです。

 

 

頭では覚えていなくても、本当はやってはいけないことをやってしまったために、魂がざわついているんですね。まさに、そんな感覚でした。

 

 

ほんまに急を要する場合に、薬局にふら〜っと来ることはないでしょうし、

 

 

ドラッグストアの薬剤師・登録販売者のベテランの方なら

 

 

オキナゾールなどの膣錠でも、サルファ剤の抗菌目薬でも、何かしら今あるものから探してくるやろな〜と思ったわけです。

 

 

さすがに、これから来る人はしっかり話を聞いてみようと思った矢先に、中国の人が来られたのです。

 

 

いや〜、、、これを、シンクロニシティというのか・・・。

 

 

とてもではないけど、偶然とは思えない・・・。

 

 

曰く、冷たいもの食べすぎてお腹が冷えて下痢してる、数日前にそういえば風邪引いてると、英語も日本語もできない方でしたからグーグル翻訳アプリで対応して

 

 

中国の方でしたので漢方にも理解があると思って、これは「中医学的医薬品」だと紙に書いて、漢方は僕の得意分野ですから、聞いた話から見繕って3日分ほどエキス剤を渡しました。

 

 

翌日も来られて、これが相当効いたらしく、今度は家族がどうのこうのとなるのですが^^:;

 

 

日本の調剤薬局や病院では、医師の処方についてどうのこうのと考えることはあっても

 

 

医者にかかるほどでもない程度の症状の場合、自分たちで、患者さんに何ができるか?

 

 

ということを提案・考える機会はほとんどありません。

 

 

現に、僕は何の提案もできずに、受診勧奨の名のもとに追い返してしまいました。。。

 

 

そもそも、日本人で調剤薬局に「相談に」来られる人はほとんどいないと思います。

 

 

相談に来るのは、決まって外国人です。

 

 

それだけ、外国では薬局が身近な存在で、薬剤師が信頼されているのかなと感じます。

 

 

日本の調剤薬局の場合、薬局は薬もらう場所であって、病院も待たされてうんざりしてるから、あなた達に話してる時間もないから、もうただ、早く出してくれと。

 

 

薬の専門家や身近に相談できる存在に、なりきれていない現状があると感じます。

 

 

まあ、今までは忙しく働いて大量の患者さんをさばいて、とりあえず薬出しとけば、正社員であれば数百万円の給料をもらえたでしょうが、これからはそうはいかないでしょう。

 

 

医療従事者の中でも、何やってるかよくわからないけど、まあ、とりあえず食いっぱぐれがなさそうな資格

 

 

それが、日本人の薬剤師に対するイメージではないかと考えています(ToT)

 

 

Oh, my...

 

 

現に多くの調剤薬局では大量の患者さんを、いかに時間内にさばくかで精一杯なのが現状かと思います。

 

 

軽い症状なら薬局やドラッグストアでなんとかしようという、厚労省の謳うセルフメディケーションのように、時代はそういうふうに流れているのでしょうが、一方で

 

 

本当は怖いなんとかみたいに、軽い症状のようで重い病気だったらどうするんだ、どう責任を取るんだという声も、薬剤師間でもあるかと思います。

 

 

でも、それって

 

単なる責任逃れで、結局、医師に全部の責任をおっ被せているだけなのではないかと思います。

 

百日咳だって、僕も大人になってやりましたが、最初はどうみても鼻水などの風邪の症状です。

 

医者に行ったって、あなた風邪ですね〜で終わって、調子が悪くなったら再び受診という流れになりました。

 

一発目から、「あなた、それは百日咳ですよ」とはならないと思います。

 

※ちなみに、漢方的には百日咳の風邪っぽいときに柴朴湯を使います。

 

風邪っぽいとき(カタル期;2週間くらい)で、いよいよ怪しくなってきたとき(10日目くらい)までに柴朴湯を飲んでいれば、あの地獄の咳(痙咳期)になりません。大人になって二回目の百日咳っぽいときに、僕はこれで乗り切っています。ただ、たとえ痙咳期になってしまっても、抗生剤と柴朴湯を合わせればいいわけですが。。。

 

 

 日本の医療費は、40兆円を超えています。

 

政治家や公務員の仕事で、あれは無駄、これは無駄、血税の無駄遣いだという声は多いですが、

 

一方で、お肌がしっとりするからと、病院行ったら安くもらえるからと、ヒルドイド®を何十本と出して貰う人が後を断ちません。

 

お薬手帳を見ていて、ため息が出そうになりますね。さすがに人前では出しませんが^^:;

 

塵も積もればなんとやら、約60億円ほどかさんでいるとか。

 

医療費については、税金であると言う認識が薄いと感じます。

 

正社員の場合は、給料天引きですから仕方がないのかもしれません。

 

自営業の場合は、医療費は正確には健康保険「税」ですから、納付期限もあるし、一定期間滞納すれば、督促の赤紙や住民税同様に差し押さえが来ることは周知の事実です。

 

 

あまりに、コンビニ感覚で気楽に受診されると医療従事者にとっても負担であるし、医療費もかさみます。

 

 

ただ明らかにいつもと違ってヤバいと直感的に感じたら電話をしてから受診はすべきでしょうが、将来を考えたときに

 

 

薬局でトリアージと言うか

 

トリアージといっても、災害時や戦争映画で見かけるような、生死レベルの重いものではなく

 

 

薬局で対応できるものなのか、即刻受診したほうがいいのか振り分けるというものです。

  

 

これは、メンタリティというかセルフイメージの問題でもあると考えていて

 

 

ドラッグストアの薬剤師さんや登録販売者さんは、患者さんの話を聞いて、勧めるということが当たり前というかそれが仕事というか、やたらめったら医者に行け(=受診勧奨)ということは少ないと思います。

 

逆に調剤薬局や病院の薬剤師の場合は、数が少なくとも聞かれた時に、症状の程度に関わらず、かなりの確率で受診勧奨すると思います。

 

調剤薬局や病院勤務だと、そもそもOTCにどんな薬があるのか、あまり知らないのもあるかと。

 

医師の処方に基づいて用意する・監査する、場合によっては「医師に」提案するということが染み付いているだけに、

 

この「『患者さんの』話を聞いて提案する」という筋肉が、ドラッグストアの方々と違って鍛えられていない感覚です。

 

CYPや金属などの相互作用や構造、飲みあわせ、禁忌、添付文書のTmaxやAUCからの処方薬提案などももちろん勉強する必要はありますが

 

 

 

薬局トリアージ力(りょく)

 

 

 

これからの薬剤師は、こういう力も求められるのではないか、鍛えて磨いておく必要があるのではないかと今回の経験でつくづく実感しました。

 

 

※このことに気づかせてくれた、受診勧奨の名のもとに追い返してしまった外国人の方々、助言をいただいた上司の方に深く感謝いたします。

 

 

 

☆今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます^^

 

 

P.S.

 

 ↓探したらありました。思わず買ってしまったのでいちおう、紹介しときます。

 

痛みの種類や、耳鳴りの種類など、

 

こうであれば、こういう可能性がある

 

など、身近な相談できる存在(≒プライマリ・ケア)として知っておくべきことが書かれていますので、気になる人は読む価値があると考えます。

 

ただし、そこは漢方の得意分野ですよ〜というところがびっくりするくらい、対策のしようがないなどと表現されて抜け落ちています。例えば、二日酔い。

 

漢方に関しては門外漢であるかなと思います。医療従事者といえど大多数が漢方は不得手ですので、そこは致し方ないですが。

 

あと、推奨睡眠時間が7時間寝れば十分で、6時間でどの世代も大丈夫みたいな記述も気になりますね。

 

遺伝的なショートスリーパー以外は、基本8時間は必要だと考えています。

 

それでも、足りないときもあります。

 

お年寄りはともかく、特に若い世代の6〜7時間はさすがに短いです。20代は体力でカバーできますが、30歳を過ぎると無理が効かなくなってくるので、身体を壊すリスクが上がると思います。

 

その辺は自分自身で考えて判断するとして、症状の客観的な判断指標は非常に勉強になります。

プライマリ・ケアに活かす薬局トリアージ―適切な受診勧奨・OTC販売・生活指導のために

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: じほう
  • 発売日: 2013/03/01
  • メディア: 単行本