ココロの漢方

20代の時に風景写真の為に北海道から小笠原まで住み込みながら全国を放浪し、町工場の溶接工からホテルマンなどをやってきた、薬局で働く現役の漢方大好きで風変わりな薬剤師が、ドラッグストアや通販で手に入る漢方やメンタル面、ランニングや呼吸などによって自身を整えていく考え方や独自の価値観を紹介しています。

一生使える!? 咳と痰と漢方の使い分け

この時期、風邪やらインフルやらウイルス軍団が猛威を奮っておりますが

 

咳にも痰にもいろいろあって、漢方も一概にどれがいいとは言い切れないところです。

 

自分が風邪を引いたりしたときに、その咳や痰の質を見極めて

 

配合生薬を考えて咳の症状を抑えていくのも漢方の生きた勉強になります。

 

ポイントは

 

咳の種類・痰の種類を見極めて、それぞれに効く

 

「生薬」を見極めることにあります。

 

漢方薬ではなく、生薬を見極めていく癖をつけると

 

色々と応用が効くようになります。

 

今回は、咳と痰で少々長いですが、お話をしていきたいと思います。

 

 

1.咳には、いわゆる一般的な咳と気管支のけいれんから来る咳がある

 

一般的な咳によい生薬

 

☆中枢性の咳止め・・・半夏

 

気管支のけいれん系の咳によい生薬

 

☆麻黄、厚朴、地竜(じりゅう;いわゆる・・・ミミズです)

 

※麻黄は心不全の人と妊婦さんは禁忌です。

 

他にも色々ありますが、これだけ覚えておくだけでもだいぶ応用が効きます。

 

基本的に、漢方の咳止めといえば半夏です。

 

例えば、

 

痰の絡まない咳には、半夏が多く配合されている麦門冬湯を飲んでいればだいたい止まります。

 

これで止まらなければ、気管支のけいれんです。

 

喘息は気管支のけいれんによる咳の代表例です

 

麻黄の入った麻杏甘石湯

 

厚朴の入った半夏厚朴湯

 

その両方(麻黄と厚朴)の入った神秘湯

 

加えて、地竜。

 

こうしたものも半夏と組み合わせて、けいれん性の咳を鎮めます。

 

喘息のみならず、普段の風邪が重症化したときにも使えます。

 

半夏(ハンゲ)の入った、咳止め効果のある市販されている漢方

 

・麦門冬湯

 

・小柴胡湯系(柴苓・柴朴湯、柴胡桂枝湯、小柴胡湯加桔梗石膏、柴陥湯など)

 

・半夏厚朴湯

 

・参蘇飲

 

・小青竜湯

 

半夏の注意点は、乾かす力がかなり強いこと

 

です。

 

小青竜湯は、そのため長期間使用はできません。

 

麦門冬湯は、半夏以外の生薬で潤すことによってなんとかカバーしています。

 

小柴胡湯や半夏厚朴湯などは、どうしても乾く方向に行ってしまいます。

 

 

 

 2.痰を見極める

 

咳というものは、痰を出すための反応です

 

つまり、咳を止めても痰が残っていては意味がありません。

 

机に牛乳をこぼすと、やがて床にポタポタ落ちてきますが

 

いくら床を拭いても上からポタポタ落ちてきて補充されるだけです

 

まず、机の上の牛乳を拭くことが結果として効率の良い掃除に繋がります。

 

漢方でも、同じことで

 

痰が絡む場合は、痰を取っていきます。

 

痰を取る(去痰といいます)ことが、結果として咳止めになります

 

代表的な漢方の去痰の生薬

 

・杏仁(きょうにん)

 

・桔梗(ききょう)+甘草

 

・前胡(ゼンコ;エキスなら参蘇飲に配合:重症化して黄色い痰が出る時に)

 

・半夏に加えて、陳皮、茯苓、生姜、甘草を足した二陳湯

※ちなみに半夏には、痰(ここでは、かーっぺっと吐く痰の意味)を溶かす作用もあると言われています。

 

・冷えによるものには、附子や細辛

 

 

などがあります。

 

痰の見極めのポイントは

 

1.咳の音

 

2.色

 

3.量

 

です。

 

1の音でいうと

 

ケポっ、ゼロっ、ゴボっ

 

というのは痰が絡んでいます。

 

麦門冬湯のような、潤す系に働くものは当然のごとく悪化するので使えません。

 

 

2の色は、例えば白くて量が多くてサラッとしてるものは

 

冷え

 

によるものです。

 

炎症というよりも、水分過剰によるものです。

 

小さな子供さんで、ケポッケポッと大量の痰が絡んでるような咳をたまに見かけますが

 

まさに、あれがそうです。

 

花粉症の大量の鼻水も同じです。

 

小青竜湯に附子を加えたもの(小青竜湯加附子)

 

附子と細辛の入った麻黄附子細辛湯は、鼻水の滝系花粉症の2大特効薬ですが

 

 小さな子どもさんのこういうパターンの場合は、麻黄剤を使わずに二陳湯を使います。

 

六君子湯などがそうですね。

 

 

あとは、黄色かったりして色が付いていて粘っこいもの

 

 

これは、炎症起こしていて熱を持っているのと、細菌感染しています。

 

抗生物質を病院でもらってくる必要があるのと

 

石膏や黄連のような冷やす系の、生薬も必要になります。

 

※金属と相性悪い抗生物質は、

 

クラビットなどニューキノロン系

 

ミノマイシンなどテトラサイクリン系

  

です。医院や薬局で必ず申告してください。

 

 

麻杏甘石湯や、麻杏甘石湯に桑白皮がはいった五虎湯

 

桑白皮(そうはくひ)というのは、文字通り

 

あのカイコガの幼虫の餌の桑の、根っこの皮です。

 

炎症を抑えたり、利水効果で去痰の役割も果たしたりします。

 

痰に血が混ざっていると、僕は五虎湯にします。

 

五虎湯は、麻杏甘石湯にさらに抗炎症効果を追加したものと考えていいと思います。

 

麻黄剤は夜寝れないから、寝る前は小柴胡湯加桔梗石膏と半夏厚朴湯(量は加減)にしたり

 

小青竜湯と麻杏甘石湯の比率を絶妙に調整した合剤に、抗炎症と咳止めの効果もある小柴胡湯をベース兼胃薬として使う

 

重症化して咳すると胸が痛ければ柴陥湯を足す

 

などいろんなパターンが考えられます。

 

 

3の量ですが、

 

・冷えて起きるものは白くてサラサラしていて大量

 

・熱を持っているものは、黄色などで少量

 

であることが多いです

 

 

いずれも、漢方薬の名前ではなく、

 

生薬の特徴

 

を知った上で、その生薬の配合されている漢方を上手く使っていくことが大切になってくると思います。

 

そういう意味でも、前々から書いている

 

生薬を英単語に、組み合わせをイディオム

 

あるいは、

 

漢方薬を単語、漢方薬の合剤をイディオム

 

のように考えていくという価値観はやはり大事です。

 

☆今回も最後までお読み頂きありがとうございます^^

 

参考記事は以下のとおりです

 

・麦門冬湯について

 

blog.omoshiro-yakuzaishi.fun

 

・麻黄など要注意生薬について

 

blog.omoshiro-yakuzaishi.fun

blog.omoshiro-yakuzaishi.fun

 

・参蘇飲について

 

blog.omoshiro-yakuzaishi.fun

 

 ・英単語イディオム式や、数字のつく漢方を覚えるなどの話

 

blog.omoshiro-yakuzaishi.fun