ココロの漢方

20代の時に風景写真の為に北海道から小笠原まで住み込みながら全国を放浪し、町工場の溶接工からホテルマンなどをやってきた、薬局で働く現役の漢方大好きで風変わりな薬剤師が、ドラッグストアや通販で手に入る漢方やメンタル面、ランニングや呼吸などによって自身を整えていく考え方や独自の価値観を紹介しています。

体力に関係なく侮れない、感染性胃腸炎の辛さ

ここ2日間、お腹を壊してへばっていましたが

 

これが足腰が立たないわ、喋れないわで辛さがハンパないものでした。

 

1日で治した(治った?)ものの、やはり次の日はヘロヘロです。

 

経験上、本来は5日くらいは苦しむものですが、その5日分の苦しみがまとめて一日できましたから相当なものでした。

 

この前記事にした本来は2週間はこじらせる風邪を3日で治すと、その3日に2週間分の苦しみがまとめて来る感覚です。

 

さながら漫画「鋼の錬金術師」の、

 

錬金術の等価交換の法則のようです。

 

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お腹を壊すのはしょっちゅうですが、このクラスは

 

国家試験の1週間前に救急車を呼んだ、5年前の一件以来です。

 

今回もそうでしたが僕が思うに、注意すべきは

 

1.下痢に普段の体力は関係ない

 

2.ある時、体力が突然落ちて死にかけることがある

 

この2つだと思います。

 

これからの季節は、家の中が寒くなって、下痢から突然体力が落ちて死にかけるリスクが高まる季節になります。

 

本当に、普段どんだけ体力あっても、あっという間に落ちます。

 

僕の経験談が活きれば幸いです。

 

時系列でみていきます。

 

 

 

起きると、胃が荒れてるような感覚があります。

 

あ〜胃の荒れかなと思って、ま、ええわとそのまま寝ると

 

2時間後にはお腹を壊していることに、トイレで気づきます。

 

この時点で、もう立てないんですね

 

これがもう、普段から走ってたりして鍛えてるはずなのに、立てない(ToT)

 

もう、普段の体力なんて関係ないんですね。

 

小腸性の下痢には胃苓湯が良いという記事をいくつか書いていますが

 

 

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あれは、立って歩けるレベルのものです。

 

マジで足腰が立たなくなるこのクラスは、漢方だけでは厳しいと思います。

 

家族の車なり、タクシーなり呼んで病院に行ってください。

 

僕は、前々から書いてますが

 

漢方と西洋医学のいいとこ取りをする漢方をやってる人間ですから、1日だけ漢方やってどうにもならんかったら病院へ行こうと思い

 

立てなくて、頭もぼーっとしてふらついてる状況下で

 

1日、何を飲んだら、どうなるか経時変化を見てみようと考えて色々と試してみました。

 

結果として、1日で治ったわけですが、

 

一般の方は前述の通り病院へ行かれることを勧めます。

 

脱水も点滴で良くなりますから。

 

まず、ゲップが多くて吐く一歩手前の症状だったので

 

半夏と生姜の配合されたものを手元のもので探すと

 

半夏厚朴湯

 

これは、よく効きましたね。

 

医療用の濃さで2〜3包か、ほんの数時間程度でこっちの方は気にならなくなりました。

 

続いて、下痢のタイプから

 

セッシャ

 

リシツ

 

この2つを見極めます。

 

立てる気力もなく、声も出ず、頭も働かない状況でよくこれだけ考えられたな〜とは思いますが

 

水道の蛇口をストレートにして、シャーっと勢いよく出したようなのがセッシャ(小腸性)

 

なかなか出てこず、出てきてもビリビリと少ししか出ない(大腸性)

 

今回は「セッシャ」でしたので、セッシャに良いとされる

 

胃苓湯

 

こちらは、医療用の濃さのものを持っていたので、これで対処します

 

胃苓湯は、平胃散と五苓散の合剤で

 

ある程度の腹の痛みを平胃散由来の厚朴でとり、五苓散由来の利水の生薬で消化管の水分を体内に引き込んで脱水を予防します。

 

また厚朴は、元は岐阜の郡上や高山で有名な朴葉寿司のホオノキですから、チフスなどにも効く強い抗菌効果があると言われています。

 

しかし、半日で医療用の濃度にして2日分以上を飲んでも下痢が止まることはありませんでした。

 

ただ、トイレに行く間隔がかなり伸びたので、ある程度は効いていたのかと思います。

 

これだけでも、体力が必要以上に落ちずに済みますから、助かります。

 

15分に一回が、1時間に一回に変わるだけで

 

3時間なら、本来は10回以上トイレ参りするところを

 

3回で済むわけですから^^

 

重症のものには、胃苓湯であっても下痢を止めるまでの効果はなく、水分を消化管から引き込んで、マシにしているという感覚で使うべきでしょう。

 

あとは炎症を抑えるのと腸内殺菌目的で、半夏瀉心湯を使いたかったのですがなかったので

 

黄連解毒湯を胃苓湯と一緒に。

 

色々試してみて、一番効いたな〜と実感したのは

 

夏バテに使う、清暑益気湯でした。

 

そんなものを下痢に使うのかと意外ですが、中に何が入っているか知っていればこういうことにも応用できます。

 

 

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今回の目的は、清暑益気湯の中心的存在である

 

生脈散(しょうみゃくさん)

 

です。

 

人参 五味子 麦門冬

 

この3つで、体内に水分をとどめて脱水を予防して、文字通り命をつなぎとめる役割を果たします。

 

あとは、人参と黄耆の組み合わせによる気力体力の回復

 

利水の白朮(コタロー版)や蒼朮(ツムラ版)ですが、本来は白朮推しですが、急性の下痢の場合は平胃散のように蒼朮バージョンのほうがいいかもしれません。

 

それから、気持ちレベルですが黄柏(元はキハダ)による抗菌効果です。

 

これを1〜2時間に1包飲んでいましたが、気が楽になって多少は立てるようになりました。

 

スポーツドリンクを枕元に置いて、清暑益気湯と胃苓湯と黄連解毒湯を2時間おき程度に飲んでいましたが、それでも苦しいのなんのって、これは例えようのないものでした。

 

前の日の午前中に発症して、翌朝の早朝にはだいぶマシになって峠は越したなという感じになっていましたが、その間を非常に苦しみぬいた感覚があります。

 

翌日も休みをもらって休息したほどです。

 

ちなみに、最初に書いた下痢の注意点の2番めである

 

「ある時、突然体力が落ちて死にかける」

 

今回はなかったのですが、清暑益気湯というか生脈散を頻繁に入れたのもこれを予防するためでした。

 

そう、5年前に僕が国家試験を受ける一週間前に救急車を呼んだ時は、これになりました。

 

あの時は20代で、毎日最低でも5〜6キロ、何回かは9キロ程度走るほどの体力があったにも関わらずです。

 

今回の一件といい本当に、下痢に普段の体力なんて関係ないなと思いましたね。

 

もう、あっという間に落ちるんです。

 

江戸時代とか、もっと皆さん体力が鬼のようにあった時代でもバタバタ死人が出たことを考えると納得がいきます。

 

当時は漢方なんて興味はあったけど無知のレベルでしたので、後から勉強して驚きましたが

 

お腹を壊して、あるとき、

 

・手先が氷のように冷たくなって、博物館のロウ人形のようになり、力が入らず何も持てなくなる

 

・羽毛布団にくるまっているのに、雪の中で裸で寝ているように寒い

 

・救急車を呼ぼうと、iPhoneを持ったら冷たすぎて持てない

 

・そもそもスマホを操作したりする前に持つ力もないし、器用な動きが取れない

 

・お腹がパンパンに膨れ上がって、息ができないほど苦しくなって過呼吸で痺れてくる

 

※全て、経験済み

 

こういう状態を、漢方では「ケッチン病」もしくはケツイン(厥陰)病

 

と言いまして、

 

 

文字通りの死ぬ一歩手前です。

 

漢方書では四逆湯を煎じるなんぞとのんきなことを言ってますが、↑の状態でそんなことは不可能です。

 

普通の家に附子やら乾姜なんてないですし、あっても下手すりゃ、煎じてる間に死にます。

 

陽明病から太陰病、小陰病を経てケッチン病に・・・なんてのも書物上のことであって

 

 

実際は、突然来ます。

 

現代社会では救急車一択になります。

 

ちなみにiPhoneは、フットウォーマーで温めて命からがら119通報しました。

 

近づいてくる例の救急車のサイレンを聞いて、生き返った気がしたもんです。

 

今回は、ケッチン落ちを非常に警戒していましたが、起きなかったので本当に良かったと思います。

 

翌日には補中益気湯と気休めとおやつ感覚で乳酸菌飲料のピルクルやヤクルトを飲んで、気力体力の回復と整腸をはかります。

 

※ヤクルトの10本一気飲みなどは、やめたほうがいいです。100キロウォーク並みの苦しさが待ち受けていますので・・・。

 

昔流行って今はほとんど見られなくなった赤痢の後に使うものに、大防風湯というのがあります。

 

大防風湯を使うときに、痢後の鶴膝風

 

という言葉があって、これは文字通り

 

筋肉がやせこけて、太ももが細くなって関節が浮腫んで鶴の脚のようになる

 

という例えですから、今回のレベルで既に立てなかったことを思うと、赤痢はどれだけ酷かったんだろうと思いますね。

 

まとめると、ひどい下痢の場合は

 

素直に病院へ行く

 

漢方は気休め程度に

 

スポーツドリンクは2Lクラスを常にストックしておく。それも粉ではなく、ボトルを開けてそのまま飲めるものです。

 

 

といったところでしょうか。

 

これから冬になって家の中が寒くなって、下痢からのケッチンに落ちやすい季節になります。

 

そんな時は迷わず、救急車です。

 

みなさん、くれぐれもご用心を♪

 

 

※ここに書いてあるのを見て、他にもっといいのがあるやろうという方もおられるかと思いますが、手元にあるもので、かつ足腰も立たない状況下では頭は本当に働かないのでこれが精一杯でした。

 

あしからず、ご了承ください。

 

そして、一般の方は真似はせずに、病院に直行してください。

 

真似されて何かあっても、一切の責任を負いかねます。

 

 

 ☆今回も、最後までお読み頂きありがとうございます。