ココロの漢方

20代の時に風景写真の為に北海道から小笠原まで住み込みながら全国を放浪し、町工場の溶接工からホテルマンなどをやってきた、薬局で働く現役の漢方大好きで風変わりな薬剤師が、ドラッグストアや通販で手に入る漢方やメンタル面、ランニングや呼吸などによって自身を整えていく考え方や独自の価値観を紹介しています。

麦門冬湯を使うときっていつなの? 〜麦門冬湯の裏ボス、半夏について〜

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

 

ドラッグストアに行けば、カゼ用の漢方コーナーに大量にありますが

 

よく聞かれるのが

 

 

あれ、どういうときに使えるの?

 

 

というものです。

 

今回は

 

・いつものように、構成生薬を解説(特に裏ボスの半夏)

 

・以上を踏まえて、どういうときに使えるか

 

これを書いてみたいと思います。

 

 

麦門冬湯ということで、麦門冬に目がいってしまいますね。

 

 

麦門冬は、ひとことで言えば、

 

 

うるおす

 

 

作用を持ちます。

 

 

女性に嬉しいですね〜。

 

 

ですが、麦門冬湯は、この麦門冬を目的に使うものではないと思っています。

 

 

じゃあ、何を目的に使うの?ということを解説します。

 

 

 

結論から言うと、

 

それは、半夏(ハンゲ)です。

 

う〜ん、韓流ドラマの「チャングムの誓い」の名シーン「それは、鶏肋(けいろく)です」を思い出してしまった・・・(わかる方、いらっしゃるかなという(笑))

 

 

それでは、さっそくですが、構成生薬(含まれている生薬)を見ていきましょう。

 

 

書くのがめんどくさいので、ドラッグストアのクラシエの例のシリーズの添付文書スクショを貼ります。

 

 

 

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麦門冬が10gの次を見てください。

 

半夏(ハンゲ)が5gと、次に多く入っているのがわかります。

 

 

裏ボスですね、裏ボス。

 

そう、麦門冬湯の真の目的は、この半夏。

 

漢方の生薬で、咳止めといえば?

 

そう聞かれたら、0.2秒で

 

 

半夏と答えます。

 

 

ただし、喘息のけいれん性の咳には麻黄であったり、厚朴にも平滑筋を緩める力があるので半夏だけというわけではありません。

 

 

ですが、一般的な咳にいいといえば、まあ半夏です。

 

この半夏による咳止めが麦門冬湯の目的です。

 

じゃあ、他の麦門冬やらコウベイやらはどうなるの?

 

ということで、

 

まあ面白いので、解説しますね。

 

半夏は、田舎の田んぼの、あぜ道によく生えている、オッチャンたちによる草刈り待ちのコイツ

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カラスビシャク

農家のオッチャンたちによって、地上の草はヒモの草刈り機で瞬殺されますが、地下の芋の部分がある限り無限に生えてきます。

 

 

このカラスビシャクという草の、地下の芋のような部分を、料理のマッシュルームみたいに薄くスライスしたものを使います。

 

 

その昔、農家の娘さんがコイツの芋部分を掘り起こして、当時から、つわりの特効薬的存在であったため、売って小遣い稼ぎをしていたこと

 

 

そして、このカラスビシャクの芋部分が栗みたいな形である上に、ぽこっと凹んでいて、おへそみたいであることから

 

 

ヘソクリという言葉が生まれたと言われています(へー)

 

 

半夏は、吐き気を止めたり、咳を止めたりしますが

 

 

他にも強烈な作用がありまして、それが

 

 

乾かす力が強いということ

 

 

小青竜湯がそうですし、ものすごい強いです。

 

 

ハンゲ以外の生薬をもう一度見ます。

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麦門冬、粳米(こうべい)、ニンジン(漢方で人参といえば、高麗人参の類を指します)、大棗(たいそう;なつめ)、甘草(かんぞう)

 

 

これらは身体に水を蓄える=うるおす作用を持ちます。

 

 

これだけ潤すものが入ってたら、潤すを超えてむくみが出るんじゃないの?となりそうですが、これでバランスを取ってきているあたり、

 

 

それだけ、半夏の乾かす力が強いということです。

 

 

麦門冬やコウベイなどによる軍団の潤す力をもって、半夏1つの乾かす力をカバーしているとも考えられます。

 

 

咳と言っても、想像はつくと思いますが

 

 

薄い水っぽい痰が出る時は、ダメです。

 

 

既に潤ってるものを潤しますから、痰が増えて余計に悪化します。

 

 

麦門冬湯が活躍するのは、

 

 

・薄い水っぽい痰が、出ないときの咳止めに

 

 

・カゼでもなさそうやし、なんか知らんけど、咳が止まらない(特に、妊娠中の謎の咳)

 

 

こういうときに、麦門冬湯が活躍します。

 

 

 

 

おまけ。

 

この夏、夏バテ時の心の友である清暑益気湯は、なんとドラッグストアの漢方で応用して作れます。

 

清暑益気湯の主役である、生脈散(しょうみゃくさん)の構成生薬の3つのうちの1つが、この麦門冬です。

 

 

↓清暑益気湯の解説

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↓作り方

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