ココロの漢方

20代の時に風景写真の為に北海道から小笠原まで住み込みながら全国を放浪し、町工場の溶接工からホテルマンなどをやってきた、薬局で働く現役の漢方大好きで風変わりな薬剤師が、ドラッグストアや通販で手に入る漢方やメンタル面、ランニングや呼吸などによって自身を整えていく考え方や独自の価値観を紹介しています。

毒にもならんものは、薬にもならん!? ~附子:トリカブトのはなし~

もう4年前くらいでしょうか、住み込みで放浪していたときに、休みの日に山を歩いていて、本当に偶然出くわしたのがこの御方

f:id:dreamtraveler31:20190719235510j:image

小さな沢から少し離れた場所にしれっと生えていました。

 

このキンポウゲの仲間独特の毒々しい濃い緑の葉っぱ、紫の異様なオーラの花

 

この紫の花の主は、

 

そう、トリカブトです。

 

 キンポウゲの仲間は、ウマノアシガタや福寿草など毒草が多いのです。

 

黄連もキンポウゲですが、あれは薬草ですね。しかし、胃を冷やす副作用もあり、要注意生薬です。

f:id:dreamtraveler31:20190228054629j:plain

キクバオウレンの花


 この花の形からトリカブトという名前が来ているのですが、勘違いしている方も多そうなので断っておきますと

f:id:dreamtraveler31:20190719235510j:plain


 

「全草」毒草です(花の蜜も。毒草でも猛毒)

 

根っこが親玉と子分にわかれていて

 

デカイ親玉を烏頭(うず)、子分というか小さい方を附子(ぶし)として漢方で使います。

 

薬局で見れるのは、炮附子(ほうぶし)と言われる、附子を塩水に漬けて加熱して毒を抜いた劇薬の粉(炮附子末;ほうぶしまつ)だけですね。

 

劇薬っすよ、劇薬。

 

桜餅の葉っぱのような、絶妙な塩味がします。

 

僕が漢方薬局にいたとき、乾姜や乾姜の入った漢方薬の調剤でアレルギー性鼻炎を勃発させて、たまりかねて小青竜湯に附子末を加えてお湯でのんで、鼻水を止めながら調剤していたことを思い出します。

 

狂言にも、お坊さんがめっちゃ美味しいものを、これは猛毒の附子(ぶす)やでと言って弟子を騙して脅して独り占めしていたのを、

 

命がけでこっそり弟子が食べたら、まあこれが美味くて美味くて(笑)

 

完食してしまった言い訳として、申し訳なくて「ぶす」を食うて死のうと思いましたが、

 

食っても食っても死ねませぬ~云々とある附子ですが、

 

これだけが猛毒ではなく

 

昔、僕の知り合いの薬草に非常に詳しい方が、トリカブトの葉っぱをかじったらどうなるだろうと思って、好奇心でかじってみたらしいのです。

 

※その人はプロで、わかっていて自己責任でやっています。

(僕の心の声:いや、プロなら食うなよ^^;)

 

自己責任だろうが何だろうが、絶対に、マネはしないでください。最悪、命落とします。

 

葉っぱをかじったら、凄まじい動悸がしてきて、汗や涙や鼻水など、液体という液体が身体の穴という穴から出てきて、本気で死ぬかと思ったとのこと。

 

その人はちなみに、マムシグサの実をこれも、知っていて好奇心で食べたらしく、口の中が大変なことになったとかで、武勇伝を聞く方としては興味深いですが、絶対に真似はしないでください。

(僕の心の声:あなたが今生きているのは奇跡です)

 

 

附子は僕の中では、大黄さまに次ぐ面白い生薬で、色んな効果があります。

 

麻黄附子細辛湯では、アレルギー性鼻炎(寒証;鼻水の滝系)や帯状疱疹の鎮痛などに

 

寒証のアレルギー性鼻炎(鼻水の滝系)の特効薬的な存在で、この3つの組み合わせに抗アレルギー作用があると言われていますが

 

この場合の附子は利水の効果もあるのではと言われております

 

八味地黄丸や、なんとか加(朮)附湯などでは温めたり

 

神経系の痛み止めに使ったり

 

 

あとこれは、僕が一番おもしろいと思った作用ですが

 

 

古い瘀血を動かせるとも言われており、通導散や治打撲一方に加えて使うこともあります。

 

 

そのかわり、使用に注意を要する生薬でもあります。

 

 

さて、このトリカブトの花言葉は

 

 

トリカブト全般の花言葉

「騎士道」「栄光」「人嫌い」「厭世家」「復讐」

 

 

 

だそうです。

 

 

騎士道や栄光はともかく、他はロクなのないですね〜(笑)

 

 

僕が 花言葉を新たに付けるとすれば

 

 

毒にもならんものは、薬にもならん

 

 

野生のトリカブト、しばらく見てないのですが、iPhoneに残っていた写真でふと色々感じることがあったので書いてみました。